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揺れるイラン

2009/06/24 19:40

 

わたしは、6月20日の「大国登場か」というエントリーで、イスラエルのモサド長官の分析(佐々木良昭氏のブログより)を紹介した。

 

それは、「イランの反政府派の抗議行動は、そう長くは続かない」というものだった。だが、ひょっとするとこれはイラン政府をも油断させるためのモサドの深謀遠慮によるミス・リードだったのではと今は思い始めている。

 

今回の騒動の裏に欧米の勢力があったとも言われているが、もし、そうなら、それが本格化する引き金となったのはオバマのフランス訪問前後のイランの傍若無人な振る舞いだったのではあるまいか。(「やるなら本気で」http://shoko011.iza.ne.jp/blog/entry/1072989/

 

イランは6月3日、サルコジとモッタキ外相との会談にあわせて、フランスの石油大手トタルと実施する予定の大型天然ガス田開発を、同社に代えて中国石油天然気(CNPC)と進める方針を決めたと発表した。

 

また、同日イランアフマディネジャド大統領はホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)などなかったという演説を行った。

 

そして、米仏会談にあわせてイランは新型の超音速地対空ミサイル「シャヒン」の量産を開始したと発表した。

 

「これでは非核化への道は遠い」

頭にきた米仏の首脳たちが、何かイランを封じこめる作戦を実行に移したとしても当然だ。上記エントリーにも書いたようにアメリカは対話の姿勢を崩せない。重要視しているアフガン作戦、その補給路としてもイランを当てにしていたからだ。対話をスローガンにしているオバマは議会から突き上げられて困った表情をしているが、演技・・・ということはないだろうか。

 

その分、表だって動いているのはイギリスだ。

イランの最高指導者ハメネイ師は19日の演説で「(欧米は)イスラム共和国体制に敵意を示している。最も邪悪なのは英政府だ」と発言したのだが、その原因はこれかもしれない。

 

国内のイラン関連資産約16億ドルを凍結=英財務省
2009年6月19日(金)12:48
 [ロンドン 18日 ロイター] 英政府は18日、英国内の約10億ポンド(16億4000万ドル)のイラン関連資産を凍結したと発表した。国連安全保障理事会などの制裁決議に基づくもの。
・・・中略・・・制裁には核開発や弾道ミサイル開発に関与が疑われる企業や個人の資産の凍結も含まれる。

 EUはすでにイランの銀行最大手のBank Melliの資産を凍結している。(引用以上)

 

イランが混乱する中で、イギリスの仕事は速かった。

 

イギリスハメネイ師の発言に不快感を示し、両国は外交官をお互いに追放している。

 

ハメネイ師といえば、これまで何かあれば彼の発言で事が収まってきたのだが、今回ばかりはそうも行かないようだ。そのことがイランに与えたショックはある意味この混乱自体より大きいかもしれない。

 

フランスサルコジ大統領が161年ぶりに大統領として議会で演説し、わざわざそこでブルカ着用について問題視する意見を表明した。イスラムに対する批判的な姿勢をあらわにしたのだ。

 

また、違う角度からロシアも動いている。

 

ロシア大統領、年内にモスクワで中東和平会議を開催の意向

2009年6月24日(水)14:02

(トムソンロイター)
 [カイロ 23日 ロイター] エジプトを訪問したロシアのメドベージェフ大統領は23日、年内に中東和平に関する会議を開催する意向を表明した。この構想はエジプトが支持している。また、
イスラエルも容認しているという。

 ロシアは、過去にもこうした会合を提案したことがある。(引用以上)

 

米ロは核軍縮で駆け引きを続けている。だが、米のアフガンの作戦上の重要地点マナス(キルギス)基地の使用も何とか継続できるようロシアが許可を出したようだし(使用料は3倍になるようだが)、イランに対しても、影響力をある程度及ぼすという意思表示なのだろうか。イスラエルロシアとも何らかの形で意思の疎通を図っていたのだ。こういうところにしたたかさが感じられる。

 

こうしたイスラエルが「この混乱がすぐ収まる」と言うこと自体が何か怪しかったのだ。

 

おかげでイスラエルネタニヤフ首相は23日、以前、和平への圧力をかけられそうだというので訪問をキャンセルしていたイタリアを訪れ、現地でイランを批判し、また24日にはフランスも訪問、サルコジ大統領らと会談する(共同)という。

何とかイスラエル独自のパレスチナ和平案説明で丸く収めようとしているのだろう。

 

問題は今後である。

アフマディネジャド大統領に対してはロシアは再選を祝っていたようだし付き合いも長い。ムサビ氏へと移行することを認めるだろうか。また、逆に紆余曲折を経て、アフマディネジャド大統領に落ち着けば、イスラエルはまたはりねずみのような神経戦を迫られる。そして同時にイランという国そのものもホメイニ体制からずっと機能してきた独特の政治体制が揺さぶられることになるかもしれない。

加えて、こうした一切の動きが北朝鮮問題に与える影響もあるだろう。下手な処理をすれば今度は北を付け上がらせる。そして、またイランの驕慢へとつながる。

欧米がそしてロシアがいかにイランにうまく関与していくか・・・ともかく、イラン国民のためにこれ以上死傷者が出ないことを願いたい。

 

カテゴリ: 世界から  > 南北アメリカ    フォルダ: 中東

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